いざ、チェンマイへ!〜夜行バスの旅〜
タイの首都バンコクで4日間過ごした。
そろそろ、移動しようとネットを見ながら次の行き先について考えていた。
調べていると、タイの北部にチェンマイという都市があるらしい。
なんでも、「北方のバラ」と称されるほど美しい街だそうだ。
バラと私の親和性はかなり高い。行く必要がある。
移動手段は飛行機、列車、夜行バスのいずれかのようだ。
もちろん、迷うことなく一番安い夜行バスを選択した。
夜行バスの中でも三つほどグレードがあるようで
もちろん、一番下のグレード1350円(通称=バックパッカー用のバス)に決めた。
日本でも何回か夜行バスに乗ったことはあるが、なかなかキツイものである。
安い金額の夜行バスだとなおのことである。
ヤンチャな人達のカラオケ合戦に巻き込まれたり、カップルの修羅場に遭遇したりと
なかなか寝れた経験がない。
バックパッカー用の夜行バスとなると日本の比べものにならない位、うるさいかもしれない。
まさか深夜に乗客みんなで『we are the world』の大熱唱でも行われるのだろうか?
マイケル・ジャクソンのパートを誰が歌うかで揉めたりしないだろうか?
若干、不安な気持ちになる。
バスに乗る前から睡眠することは諦めた。
チケットを購入したお店に行くと、こいつに着いて行けとの指令が出た。
そいつはタバコを吸いながら怪しげな道をガンガン進んで行く。
案内されたバスターミナルで待っていると続々とバックパッカー達が集まって来た。
こいつらと『we are the world』を歌うのか。
私にレイ・チャールズのパートを歌わしてくれるだろうか。
30分ほど待つとバスが到着し、みんながバスに乗り込む。
席に着くと驚くことに意外と広いし、隣の席が空いていた。
さらにバスの中でWi-Fiが使えるようでパスワードを写真で撮っておいた。
東京-長野行きの格安夜行バスよりよっぽど快適である。
バスが動き出すと車内はすぐに暗くなってしまった。
明るいうちに撮影しておいたWi-Fiのパスワードを入れていると隣から白人のカップルが『Wi-Fi使えるの?ちょっとパスワードの写真を見せて』と言ってきた。
『いいよ』と携帯を渡す。
すると前の席の若い男の集団も『見せてくれ!』と言ってきた。
するとその前からも『見せて』と聞こえる。
もう、私の了解なんて御構い無しに携帯が縦横無尽にバスの中を行き交う。
恐らく今、私の携帯を持っている人間はもう誰の携帯かわかっていないだろう。
気がつくと随分前から「サンキュー」という声が聞こえる。
私の携帯は何処へ。