教会で黄昏 inヤンゴン
若かりし頃から私は教会が好きでよく出入りしていた。
だからといってキリスト教徒でもないしキリスト教の文化に詳しい訳でもない。
ただ単に教会に行くと心が和むといった感じである。
超常現象とかは一切信じないなのだが意外とスピリチュアルな感性を
持っているのかもしれない。
教会にハマりだしたのは中学生の頃である。
野球の練習帰り、教会に立ち寄ったのが最初である。
教会の内装の美しさに感服したのもあるが何と言っても
教会に一人座る自分に酔っていた。
若者が教会で本を読んでいるのってカッコよくないか?と思い
教会で小説を読むのが密かな楽しみであった。
ドストエフスキーの「罪と罰」を教会で読むことに何度もトライしたが
私の稚拙な脳では全くといっていい程、頭に入って来ず
30回くらい挫折したのを思い出す。
大阪を離れてからはあまり行ってなかったが
それでも長崎に一人旅をした時は教会巡りをしたりと
なんだかんだ教会好きは健在していた。
ヤンゴンの街を地図でなんとなく見ていると宿の近くに教会を発見した。
数日間滞在していたが毎日通っていた。
熱心な信者ばりに通っていた。
時折、聞こえてくる鐘の音に耳をすませる。
風が私を包み、私はそれに身を委ねる。
するとイエス様が私の目の前に現れ「汝、ガンバレ」と微笑みかけてくる。
なんてことはまるでない。
ただ今日も私は何処かの国の教会でカッコつけているかもしれない。