娘をメリーゴーランド 〜ナイトバザール〜
この日はナイトバザールへ行くことにした。
ナイトバザールとは伝統工芸品から食べ物、衣類など、様々なお店が所狭しと並んでいるエリアのことである。
活気に溢れており歩いてるだけでワクワクする。
一通り歩き楽しんだあと、屋台などが立ち並ぶエリアに入った。
バンドがライブをしており、お酒を飲みながら音楽に身を委ねていた。
なんて、贅沢な時間だろう。
お酒一杯でこんなにも酔っ払ったのは初めてである。
音楽に酔い、お酒に酔い、そんな自分を俯瞰から想像して
なんか今イケてるなぁと自分に酔う。
それを繰り返すことにより、お酒一杯でめちゃくちゃ酔っ払うことができるのだ。
実に省エネな人間である。
気分が良くなりイイ女みたいにトロンとした目でバンドを見ていると
一人の女の子がバンドの演奏に合わせて踊りだした。
天真爛漫でとても可愛らしい。
普段あまり子どもに興味がない私だがなんだか父性が湧いた瞬間だった。
彼女の名前を仮にエリーとしよう。
エリーはお姉さんを呼び踊ろうと催促する。
お姉さんはジュリーと名付ける。
ジュリーは恥ずかしそうにしながらも踊る。
バンドマンもエリーたちを見て嬉しそうにする。
観客達も拍手で答える。
エリーは微笑ましく娘たちを見ていたお父さんのジョン(仮)を呼ぶ。
ジョンが恥ずかしそうに立ち上がると観客は拍手する。
恥ずかしそうな素振りを見せていたジョンだがいきなりノリノリで踊りだす。
欧米人のよくやるあのノリである。
音楽も盛り上がってきて
ジョンはエリーを持ち上げて回し出した。
そんな光景を見ながら私もいつか娘をクルクル回してみたいなぁと思った。
しかし、ふと不安がよぎる。
高校生の時、部活で皆が余裕で上げていたベンチプレスが
上がらなかったことを思い出す。
会社に入って研修の際に同期の間で腕相撲が一時期流行った。
私は腕相撲がべらぼうに弱く、腕相撲の流行は由々しき事態であった。
己のプライドを守るために男の同期は避け、女の同期とばかり腕相撲をして勝ちドヤ顔を決め込んでいた。
そんな非力で情けない男である。
だとしても子供が出来たら高い高いなどのイベントは是非したい。
今のままでは子供を叩き落としてしまい本当に高い高いところに逝ってしまいそうなので是非筋トレをする必要がある。
さらにジョンがやっていたグルグルスイングは高い高いのもう一歩先にある技である。
エリーくらいの大きさだと割ともう重くなってそうだ。
あれをクルクル回せるだろうか?
自分の娘をグルグルスイングする妄想をしてみた。
妄想の中の娘は途中でぶっ飛んだ。