寺より団子
タイにはありあまるほどに寺がある。
歩いていれば大きな寺にぶち当たるってくらいである。
その中でもバンコクには三大寺院というものがあるそうで私は1日でその全部を回ってやろうと目論んだ。
場所を確認し、よし!歩いて行けるな!(通常は行けません)
あとは入場料も見ておこう。
三島由紀夫もその美しさを讃えたという「ワット・アルン(暁の寺)」入場料:150円
よし!行ける!
バンコク最古の寺院である「ワット・ポー(涅槃仏寺院)」入場料:600円
まぁ、いいでしょう。
「ワット・プラケオ(王宮)」入場料:1500円
うん。パス!
といったかんじで三大寺院のうち一つを諦めた。
早速、片道二時間徒歩の旅の幕開けになるのだがバンコクの昼は30度を越す暑さ、なかなかに体力を削られる。
さらには昨日の19:00から何もご飯を食べていない状況である。
一つ目に訪れたワット・ポーはまだ元気であった。
二つ目に訪れたワット・アルンは本当にキツかった。
お腹が減って力が出ないのである。
寺より何より飯屋に行きたい。
仏像より炭水化物を見たい。
ワット・アルンは川を挟んだ向こう側にある。そのため船に乗るのだが、
魚泳いでんな、寿司食いてえなといった精神状態である。
素晴らしい建築やけど腹減ったな。
デカイ大仏や。でも腹減ったな。
面白い仏像。本当に腹減ったな。なんなら腹立たしいな。
大仏がだいぶつぶれた。ふははは。
もう末期である。
流石に鳩が食べたくなったあたりでご飯を食べることを決意した。
しかし、そこからがまた長い。
美味しそうな店だな。でも高いや。
ここもいいな。割高だな。
ここまできてこんなことを言ってる奴はのたれ死んでしまえばいい。我ながら思った。
とはいっても観光地の近くだから若干高い金額設定のお店が多い。(450円くらいだが)
タイ人よりもタイ人らしい金銭感覚なのではないだろうか。
しばらく歩くとやっと安そうなお店があったので突入した。
何時間振りの食事だろうか。
早速、お店のおばあちゃんに注文する。
オーダーをおばあちゃんが厨房の料理人に伝える。
するとなぜか、おばあちゃんと料理人が大きな声で言い合っているではないか。
おいおい、そんなにも面倒くさいメニューを私は注文してしまったのか。
恐らくこれっぽっちも関係ないだろうがなんだか申し訳ない気持ちになる。
二人はますますヒートアップしだし、料理人は怒って店から出て行ってしまった。
出て行く前、料理人は私に向かって肩を竦めて見せたが、そうしたいのは間違いなく私の方である。
おばあちゃんのほうもまだ怒りが収まらないのか、僕の方を見ながらぶつぶつ何かを言っている。何を言ってるかサッパリ分からない私はニコニコ頷いていた。
おばあちゃんは「ふぅー」とため息をつき隣の席に座った。
どうでもいいけど私の料理はどうなってるの?