不自由の自由 〜ホアロー収容所〜
ホアロー収容所に行くことにした。
19世紀末に、ベトナムを統治していたフランスが、抵抗するベトナム人を収容するために建設した監獄である。
展示スペースには当時の独房や拷問器具、ギロチン、ショッキングな写真の展示もあった。
牢獄にいた彼らは自由を願い続けていただろう。そして多くの人間はその願いを叶えることが出来なかった。
現代の日本に生まれた私達はなんだって出来る。
さらに仕事まで辞めて旅に出ている
私は歴史上稀に見るほどの自由人である。
ただたまに思う。
なんかやれることが多すぎて何から手をつけたらいいもんかと。
自由の不自由というやつだ。
自由すぎるが故に不自由になってしまう。
何にも縛られないため選択肢が異常に増えてしまう。
それに少し疲れる時もある。
ホアロー収容所に来て自分の甘さを痛感する。
自分のことを思い出しても
部活動や受験勉強、仕事で忙しかった時、
そんな中でもふとした瞬間に落書きをしたり、妄想したり、イタズラをしたり。
たった数分のことでも質の高い自由があったような気がする。
多い時には月に四十人以上の人が亡くなったという。
誠に勝手な想像だが
劣悪な環境や想像を絶する拷問を受けていた彼らにも
束の間の自由があったのかもしれない。
私たちなんかよりよっぽど凝縮され濃い自由が。
そう思わないとやってられない。