ベトナムで日本食
ラオスからの長旅で疲れはてた体を休めて
少し街を歩き回ることにした。
綺麗な景色が広がる。
私が思い浮かべていたベトナムのイメージは戦争で疲弊して
未だにその傷が癒えてないというものであった。
しかし、かつて大きな戦争があったなんてことを忘れさせるくらいに美しい街並みが広がる。
「こんなところで会えるなんて奇遇ね」と黒髪の女性が話しかけてくる。
「久しぶりだね」と私は答える。
「あの赤い橋であの約束したのはちょうど2年前の今日ね。
ずっと待ってた。この街で」
「この街は変わらないね。君は少し痩せたかな。僕が知らない間に色々あったんだね
この街で・・・」
「もう行かないで・・欲しいかも」と彼女はためらいがちに言う。
僕は彼女の言葉を聞くと風になった。
彼女の目に僕はもう写っていないだろう。
しかし、彼女は少し嬉しそうだ。
僕もなんだか嬉しい。
みたいなことを妄想しながら歩く。
観光客がハノイの街に活気を加える。
さらにバイクの大群もベトナムらしさをさらに演出する。
街を歩いていると日本料理屋さんがあったので
食べてみることにした。
しっかりとしたボリュームである。
疲れ果てた今の胃腸ではとてもじゃないけど全部は食べれなかった。
食べてみると「めちゃくちゃ美味い!日本を思い出すぜ!」
なんてことはなく、あぁ早く本物の日本食を食べたいなと思う味である。
異国の地で日本食をあえて食べてみるの面白いかもしれない。
日本で食べる日本食のありがたみを噛み締めることができる。