始まりはいつも野宿
インドに無事到着した我々だったが
残念な出来事が起こってしまった。
日本からインドへの直行便が高かったので
タイのバンコク経由でインドのチェンナイに向かうことにした。
タイの手荷物検査の際、出国前日に3000円程で購入したコンタクトレンズの消毒液が引っかかってしまった。
私の3000円は皆さんでいう30万円くらいの価値だと考えて貰ってかまわない。
30万円を黙って捨てられるのは許されるべきことではない。
『頼むから没収しないでくれ!賄賂払うから』と死にものぐるいで検査員の女の子たちに懇願するもダメだと一蹴され捨てることになった。
自分で捨てろと顎でゴミ箱を指される始末である。
捨てる間際にオーマイガーと叫ぶと検査員たちが笑ってくれたのはここだけの話
ちょっとだけ嬉しかった出来事である。
それでも大きなトラブルなく
無事にインドへ降り立った。
夜中の12時を回った時間に到着した私たちはその日、空港内に泊まる予定だった。
しかし、なんとなく歩いていたら空港を出てしまった。
再び空港に入ろうとするも
『チケットがないとダメ』だと入れてもらえない。
さらにチェンナイ国際空港はWiFiが使用できない。
ATMでお金を引き出してタクシーで街中まで繰り出そうと策略するもATMの機械が潰れておりお金も引き出せない。
我々は全て諦めて道に座り込んだ。
「帰りたいな日本に」
「このまま死ぬかもな」
初日は野宿である。
金がないからご飯も水も買えない。
空を見上げると天使が見えた。
旅をしていると度々会いに来てくれる
ナイスな奴らだ。
しかし、まだ彼らのお世話になるのもごめんなので気合を入れて寝ることにした。
翌朝目覚めると
隣で寝ているケント君は死んだかのように横たわっていた。
本当に死んだのかと思い私は一人その場から立ち去ることにした。
旅はまだ始まったばかりである。