ウェルカムウォッカ
ジョージアからトルコのカッパドギアまでバスで移動する。
バスがカッパドギア付近に着いたのは夜中であった。
宿まで歩いていける距離ではなかったのでタクシーに乗ったのだが、メーターの上がり方の半端なさに狼狽した。
24時をまわっていたのでスタッフはもう寝てるかなと心配したが余裕で起きていた。
というか彼らは酔っぱらっていた。
最初に我々を待ち受けていたのウェルカムウォッカである。酒に酔ったロシア人3人組とスタッフらしきトルコ人2人と焚き火を囲んで乾杯をする。
トルコ人はめちゃくちゃ陽気だった。
挨拶の会話だけでこっちが疲れるくらいボケてくる。
「まず最初の話題だけど」と陽気なトルコ人が切り出す。
「日本人とロシア人がいることだし第二次世界大戦についてでも話そうか」
場が凍り付く。
そして絶妙なタイミングで「冗談だよ!」と笑う。
その瞬間、どっと笑いが起こった。
なるほどこれが笑いの極意である、緊張と緩和か!と私はメモをしたほどである。
全員190cmを越えているだろう屈強なロシア人たちも「初対面でいきなり第二次世界大戦の話しはヘビーだよ」とつっこんでいた。
話を仕切っていたトルコ人はなかなか変な人でありがちな恋愛トークやスケベなトークをしてきたかと思いきや「レイ(私)は死んだら人間はどうなると思う」とディープな話題もふってきたりした。
ちなみに私は「沈黙さ」とドヤ顔で言ってやったものだ。
ウォッカを飲まされ、知識のない仏教について語らされ、ようやく睡眠を許されると私は死んだように眠ったのだった。
翌日はもちろん二日酔いだった。