ロマンチックなホイアンへ
噂によるとホイアンの夜はなかなかに良い雰囲気を醸し出しているらしい。
川にランタンを浮かべられ幻想的な空間が演出される。
ロマンチストの私にとっては行かずにはいられない場所である。
例え、隣に女性がいなくても関係ない。
そんなものは自分の頭で作り出せばいい。
私が泊まったドミトリーはとても清潔感があり、快適だった。
他の宿泊客が一人もいなかったので六人部屋の二階を独り占めできた。
「ストレスなく、生活できる!」という気持ちが半分と「他の旅人と
コミュニケーションが出来ない」という寂しい気持ちが入り乱れた。
旅の序盤に比べると随分と初対面の外国人とお話しすることに抵抗がなくなった証かもしれない。
夜まで時間がまだまだあるので街に出かける。
ハノイに比べると観光者にとっては居心地がいい街である。
ハノイほど車やバイクも走っていないし、雑多な感じもない。
街としての景観も綺麗で時の流れも穏やかに進んでいる。
自然と笑みが溢れてしまうようなポカポカした街である。
といってもニヤニヤしながら一人で歩いているのは私ぐらいである。
お店に入り、昼食をとることにした。
カオラウと呼ばれるうどんによく似たホイアンの名物料理を注文する。
カオラウは今回の旅行でトップ5に入るくらい美味しかった。
日本人の味覚にも合っているのではないかと個人的に思う。
ホイアンにいる間、私は毎日カオラウを食べていた。
色々なお店のカオラウを食べ比べしたりした。
美食家みたいな活動をしていた訳である。
ただ一つ、残念なことはそれぞれの差異を語れるほど
私の味覚が発達していなかったことである。
正直、目隠しされたら全部同じに感じるだろう。
そしてもう一つ、酒飲みには朗報だが
上記の写真にあるビアホイというフレッシュビールは一杯14円という破格の値段である。
味は最高に不味いが安いので昼からたくさん飲んでしまった。
パンケーキとビールという前代未聞の組み合わせをしてしまうくらい安い。
夜になると鮮やかに彩られるという川辺に行ってみることにした。
昼でも十二分に美しい景色である。
お洒落で美しい川辺はいくら歩いていても飽きることはない。
いつドラマが起きてもおかしくない程である。
前を歩いていた女性が携帯電話を落とす。
「落としましたよ」と彼女の肩を叩く。
「すいません。ありがとうございます」
携帯を落とした女性を正面から見て私は思わず言葉に詰まる。
「レイ君。・・・なんでここに?」
3年前にフラれた彼女がそこに立っていた。
なんてドラマが起きれば良いのにな。