気をつけよう、一人の海は悲しいよ
ホイアンには大きいビーチがある。
毎日唸るような暑さの中で過ごしていると水に飛び込みたくなるものだ。
1日予定が空いていたので海に行くことにした。
一つ心配なことは一人で海に行って楽しめるかどうかである。
冬の海でテトラポットの上、黄昏るには一人の方が好都合かもしれないが
夏のビーチで一人遊ぶのは想像しにくい。
まぁ暇になったらビーチで本を読めばいい。
自転車を借りて宿から海へ出発した。
ホイアンの風を体いっぱいに感じて海へとチャリで爆走する。
海辺のお店で食事をすることにした。
ビーチに着いて一番最初に思ったのは「人少な」である。
賑わっているビーチを予想していたので少し寂しい気分である。
逆に広大な海を独り占めできると考え直し、砂浜を歩き回ることにした。
そろそろ泳ごうと思いカバンを漁る。
ここで思い出す。
「水着持ってきてない。てか、そもそも持ってすらいない」
砂浜に腰掛け、砂遊びをすることにした。
かれこれ1時間くらいお城を作ったり、トンネルを作ったり、それが波に攫われたり、
泥団子を作ったりした。
何度か私の横を通る人々に冷たい視線を向けられたが
私は気にしなかった。
いや、本当は凄く寂しかった。
誰か一緒に遊んで欲しいな・・・。
そうだ波に遊んでもらおう!といよいよ狂い出した私は
服を脱ぎ捨てパンツ一丁で海に飛び込む。
ヤッフォー!最高!と奇声を発しながら一人波と戯れる私を
親が見たらきっと悲しむだろうな。
でも私は強く生きるよ!
いつかたくさんの友たちと海で遊んでみせる!
私の気持ちを代弁したかのようにスコールが降り出してきた。
心も体も雨に濡れながら宿に戻る私。
欲しいな友達。