もしも仕事を辞めた無職が世界一周してみたら

無職になった若者が世界中を旅して成長していく過程を見れるだろうブログ。

新しい予感

僕の目の前で腕組みして立っている女性は

僕の存在にすら疑問を抱いてるくらい問いかけてくる。

『なんで?なんでパスポートがないの?』

『ちょっと待って!今俺も考えるから』

おかしな話である。ご婦人(パスポートおばさん)が苛立つのもわかる。

 

でも私は落ち着いていた。

どうせ鞄に入ってる。今まで何度も物をなくしてきたが大体鞄に入っていたものだ。

私と宿のスタッフ二人の三人がかりで鞄を漁る。

スタッフの女性が私のパンツをぞんざいに扱った時は

少し胸が痛んだ。

 

しばらく探していたが出てくる気配は一向にない。

そんな気はしていた。

今回はマジでカバンに入ってないパターンのやつだと。 

 

『ないじゃない!』おばさんが睨む。

『そうだね』落ち着いた表情で私は言う。

絶望していた。何とかなると思ってたが

なんともならなそうな状況である。

 

必死で考える。

・・・どこでなくした?

バスで移動していた時はパスポートを取り出すことはなかった。

恐らくバスではないはずだ。

じゃあ…ホイアンで無くしたのか。

ホイアンのどこでパスポート使ったっけ?

 

思考を巡らす。

パスポートを使った記憶があるのはホステルの受付だけだ。

あっ!

ホイアンで泊まっていたホステルの受付に預けたままだ!

 

謎が解けたぜ。

そして私はなんて間抜けな男であろうか。

 

受付のおばさんにこのことを伝えると

『バカだねぇ』と笑われた。

すぐにホイアンで泊まっていたホステルに電話をする。

『パスポート預けたままで出て行っちゃった』

『そうそう!今どこにいるの?』

『もうホーチミンに移動しちゃった』

『じゃあ取りに来るのは時間がかかるね』

 

冗談じゃないまた何十時間かけてバス移動は御免である。

『送ってくれる?』

『しょうがないな』

 と幸いパスポートをホーチミンに郵送してくれることになった。

 

住所を教えるためパスポートおばさんに

電話を渡すと会話が盛り上がっている。

時折馬鹿笑いまでしている。

だいぶイジられてるなぁと思いながら

彼女の電話が終わるまで待つ。

 

電話が終わると特別にパスポートが届くまでパスポートがなくても泊めてくれることになった。

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エントランスにいる犬は相変わらず可愛い。

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ハードな夜を終えて、翌朝朝食をホステルで食べていると

金髪の青年が話しかけてきた。

「日本人ですか?」

「そうです」

 

新しい旅が始まる予感を感じた。