もしも仕事を辞めた無職が世界一周してみたら

無職になった若者が世界中を旅して成長していく過程を見れるだろうブログ。

ディズニー、ユニバーサルをも凌ぐインド最強の遊園地!! 〜追憶のセレナーデ〜

バンガロールになかなか愉快だと噂の遊園地について耳にした。

その名もワンダーラ・アミューズメント・パークである。

 

なんでもディズニー、ユニバーサルスタジオとも引きを取らないという。


その日は朝早くに起きて

ワンダーラ・アミューズメント・パークに向かう。

 

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黄昏る私

バスで遊園地の最寄りまで向かい、そこから歩いて行く。

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遊園地の気配すら感じない場所で降ろされる。

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グーグルマップを駆使して遊園地に向かうが着かない。


果てしない遠さであった。

 

タクシーが何度も我々を誘惑するも頑なに断り続けていた。

歩き続けて30分以上経った頃にようやく遊園地の入り口らしきものが

見えてきた。

私は浮き足立った。

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あからさまにはしゃぐ筆者。

入場料は大体1000ルピーちょっと(1500円くらい)

それで全ての乗り物に乗れるという。

コストパフォーマンスの高さを感じさせる遊園地だ。


 入場して一番最初に乗り込んだ場所はもちろん

ハンバーガーショップである。

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ハンバーガーの中身が少なすぎる件については不問にしておく。

 

メインのジェットコースターで行列に並んでいると何やら怒号が聞こえてきた。

なんと若者達の群れが発狂していたのだ。

 
「&%$#"&$!!」『うーはっ!うーはっ!うーはっ!』

「&%$&$$#%&!!!」『うーはっ!うーはっ!うーはっ!』

一人のムードメーカー的なトサカ頭の青年が呪文のような言葉を叫ぶと

その仲間たち十数人が『うーはっ!』と叫び出す。

これの繰り返しである。 


あまりにうるさ過ぎて警備員に注意をされていたがそれでも時たま思い出したかのように集団は発狂しだした。

これには私とケント君はたまげたものだ。

最初は若者たちが集団で狂い出したのかと思い心配したが

彼らの熱意を見ていると彼らなりのストーリーがあるのだとわかった。

 

       

 

昔、トサカ頭の青年には恋人がいた。

彼女の名前はエマニエル。

まさに2年前の今日、二人はこのワンダーラ・アミューズメント・パークで

デートをしていた。

 

「ねぇ、トサカ〜。さっきもメリーゴーランド乗ったじゃん」

「だって面白いだろ?エマニエルは嫌いか?」

「もう5回目だよ。次はあのジェットコースター乗ろうよ!」

「は?俺はいいよ。あんなのしょうもねーよ」

「あぁ。トサカもしかしてジェットコースター怖いんだ〜?」

「そんなわけねーだろ!」

「じゃあ並ぼ!」エマニエルの笑顔は輝いていた。

 

トサカの膝はガクガク震えている。

そう、自分たちの順番が近づいてきているのだ。

それを見たエマニエルは意地悪そうに笑っている。

「ねぇ。トサカ。怖いならやめる?」エマニエルはニヤニヤしている。

「怖いわけねーだろ。あぁ楽しみすぎて膝が笑ってるよ。膝が爆笑してもう

取れちまいそうだぜ」

トサカ渾身のギャグも大幅にスベってしまった。

トサカは今でもこの時のエマニエルの表情を鮮明に思い出せるという。

 

ついにトサカとエマニエルがジェットコースターに乗車する順番である。

 

次の瞬間、トサカは思わぬ行動をとった。

 

エマニエルを突き飛ばし、逃げ出してしまったのである。

トサカは恥ずかしさのあまりそのまま遊園地からも出て行き、家へ帰った。

 

その夜、エマニエルは亡くなった。

交通事故である。

即死だったそうだ。

彼女の手には遊園地の再入場券が2枚握られていた。

 

トサカは泣くことすらできなかった。

この2年間、自分を責め続けた。

山にもこもった。ご飯も食べず、水も飲まず瞑想を続けた。

 

そして、あの悲劇から2年が経ちトサカは

地元の悪友たちを引き連れてもう一度

ワンダーラ・アミューズメント・パークに向かった。

 

ジェットコースターの待ち時間、あの恐怖がトサカを苦しめる。

また足が震えてきた。

「チッ。楽しみすぎて膝が笑ってるよ。膝が爆笑してもう

取れちまいそうだぜ」もう一度あのセリフが口からこぼれ出す。

仲間の方に目を向ける。

性懲りもなく、スベったようだ。

 

仲間の一人がトサカに言葉をかける。

「お前の思い、エマニエルに届けなくていいのか?」

 

トサカは大きく息を吸った。

 

   「&%$#"&$!!」        『うーはっ!うーはっ!うーはっ!』

(俺は今でもお前を愛している!!)  (うん!そうだね!そうだね!)

 

 

  「&%$&$$#%&!!!」         『うーはっ!うーはっ!うーはっ!』

(お前のために俺はこの命を捧げる!!   (うん!そうだね!そうだね!)

 

 

 

『おい!お前ら!他のお客様の迷惑になるだろ!静かにしろ!』

警備員が止めに入る。

 

『うるせー!社畜野郎!俺とエマニエルの愛を邪魔するな』

『そうだ!そうだ!』

   

トサカは私とケント君の方を見るとまた叫んだ。

 

    「&%$#"&$!!」        

(おい、そこの日本人!!これがインド人のTrue Love だ!!)

 

 『うーはっ!うーはっ!うーはっ!』

  (うん!そうだね!そうだね!)

 

いつのまにか私もケント君も『うーはっ!』の掛け声に参加していた。

 

  「&%$&$$#%&!!!」      

(お前のために俺はこの命を捧げる!!)

 

 『うーはっ!うーはっ!うーはっ!』

  (うん!そうだね!そうだね!)

 

空を見上げた。

太陽が眩しくて目が開けられない。

太陽は罪なやつだ。

星になったエマニエルの笑顔を隠すんだから。

 

一瞬、ほんの一瞬だが一つの星が太陽に負けないくらいの光を放った。

気がついたのは私だけだと思う。

 

-完-

 

 

 
ジェットコースター自体もなかなか刺激的で面白いものであった。

どうでもいい話を書いていたら長くなったので遊園地の続きは

また次回!!

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