今度はちゃんと異文化交流
ホステルのロビーでコーヒーを飲んでいた白人の男性に声をかけられた。
一通り挨拶をすませる。
イタリア出身で名前はアンディーと言うらしい。
私が日本人と伝えると「こんにちは。私はアンディーです」と綺麗な発音で挨拶してくれた。
「日本語知ってるの?」と聞くと
「少しだけ」とアンディーは答える。
すごいな!と思ったが日本語知ってるという言葉ほど怪しいものはない。
以前あった、ジョニーのように「チンチン!」と言いだしかねない。
アンディーに知ってる日本語を聞いてみた。
「妙法蓮華経」
え?仏が私を横切ったのだろうか?
いや、目の前のイタリア人の口からはっきり発音されていた。
どうせチンチン系統の日本語と高を括っていた私だったがまさかの妙法蓮華経である。
話を聞いてみるとアンディーはイタリア人だが日蓮宗の信者だそうだ。
ジョニーをはじめ多くの旅人と接触したが基本的に下ネタのコミュニケーションしかしていない。これはマズイ。
コアな日本のネタを聞かれたら知らないかもしれない。
「それにしても日本語が上手いね」
「毎朝、お題目を唱えているからね」
おうおう、私よりしっかり日本人してるじゃん。
『日本に行ったことある?』
『行ったことあるよ。東京、京都、愛知、岐阜』
岐阜に行ってるあたり、やはり日本通である。
なんでも鵜飼いが見たかったそうでその時の写真を見せてくれた。
日本人でも大抵は見たことないんじゃないだろうか?
『日本でオススメの場所ある?』と聞かれたので
出身地である『大阪』と答えておいた。
大阪に行ったら「I love 阪神タイガース」「I love たかじん」といっとけばフレンドリーにしてくれるという情報を伝えとておいた。
その後も日本のことを数多く聞かれた。
その度にiPhoneを駆使してアンディーの鋭い質問に答えていった。
このままでは押し負けてしまう。
そこで私は自分の得意なフィールドにアンディーを持ち込むことにした。
『イタリアでもアニメとか漫画って有名なの?』
『有名だけど僕はあんまり知らないんだ』
私の18番が消されてしまった。
イタリア人だからサッカーの話題だ!と思い
『ピルロ、ガットゥーゾ!』と言ってみたがあまりノッてこない。
なんでもサッカーが好きじゃないらしい。
サッカーが好きじゃないイタリア人なんているのかと驚いた。
その国の人と関わってみると自分が思っていたイメージと違うようである。
勝手な偏見でイタリア人は陽気でサッカー好きで女好きなんてイメージを持っていたがアンディーを見ていると全く反対だなと思った。
イタリア人だから〇〇!日本人だから〇〇!なんて決めつけるのはよくないなと学べた。
これが本当の国際交流かとしみじみ思う。
ジョニー達と話していた内容とあまりに違い笑ってしまったほどだ。
トイレに行くために少し席を立った。
戻ると綺麗なスペイン人の女性が二人いた。
アンディーは立ち上がり大きな身振りを使いスペイン語で彼女達を笑わせる。
先ほど私と話していたクールな雰囲気とは打って変わり、情熱的だった。
やはりイタリア人は女好きのようだ。